活動について

労災職業病相談

「仕事が原因かも?」と思ったら***まずは相談ください。

「労災」というと、仕事上の事故による外傷的なケガばかりを思い浮かべるものですが、仕事で起こるのはケガだけでなく、作業が原因で罹患した業務上疾病(職業病)だと認められれば労働者災害補償の対象として、その療養や休業の補償を受けられることがあります。
『この病気、職場の、あの作業が原因なのではないだろうか?』

疑問をお持ちの方は東京労働安全衛生センターまでご相談下さい。
TEL:03-3683-9765/全国フリーダイヤルなら
0120-63-1202


*アスベスト関連の疾患のご相談は

TEL:03-5627-6007(中皮腫・じん肺・アスベストセンター)

知っておきたい職業病をご紹介

【じん肺】

じん肺は粉じんを吸い込むことによって引き起こされる職業病です。
肺は、胸の中に左右一つづつあって、左が2つ、右が3つの部分に分かれています。(これを肺葉といいます。)鼻、のど(喉頭、咽頭)に続いて気管があり、左右に分かれて肺に入り、次々と枝分かれして最後に肺胞となります。肺胞は小さい袋の様になっていてまわりに細い毛細血管が取巻いています。肺はこの肺胞とそれを支える結合組織で出来ていて肺胞の数は両側で7から15億、その表面は90から140uもあるといわれています。鼻から吸い込んだ空気は肺胞に達し、ここで酸素が血液に取り込まれます。血液に入った酸素は全身に回り、各組織のエネルギー源になります。そして、そこで出来る炭酸ガスは血液中に入り肺まで運ばれて肺胞に取り込まれ気管を通り鼻から出されます。要するに肺胞で酸素を取り入れ炭酸ガスを出す働きをしているのです。これを「ガス交換」といいます。肺は呼吸によってガス交換という重要な役割を果たしているわけで、肺が障害されると全身が酸素不足の状態になって全身の内臓に悪影響を及ぼします。ある程度の粉じんであれば、鼻毛で濾過され、気管支まで入っても気管支の壁にある細かい毛(繊毛)が粉じんを外に送り出したり、痰と一緒に外に出したりします。しかしこの防衛反応が追いつかなくなると粉じんはどんどん肺の中に入っていきます。粉じんが小さいほど、量が多いほど肺の中へ入りやすくなります。また年をとった人の方がじん肺になりやすい傾向があります。
大きな粉じんは、のどや気管支の壁を刺激し、気管支炎や喘息の原因となります。肺の奥深くまで入った粉じんは肺胞や細気管支(枝分かれして一番細くなった気管支)、リンパ節等に作用します。あるものは肺胞を埋め尽くしてしまったり、あるものは炎症を起こしたりしながら肺は繊維状の組織で固められていきます。進行すると肺の壁がやられて風船のように大きく膨らんだり、破裂したりして肺胞の働きをなさなくなります(肺気腫)。
このように気管支や肺胞が障害されていくと、当然肺の本来の働き即ち呼吸する力が弱まり(肺機能障害)、ガス交換が充分に行えなくなります。次第に身体が酸素不足の状態になり、重症になると肺と密接な関係になる心臓にも悪影響を及ぼして「肺性心」という心不全の状態にまでなります。
このようにして肺は徐々に冒され、病変はもとに戻らないどころか、粉じんを吸わなくなっても進行を続けていくのです。

じん肺の初期はあまり自覚症状はでません(粉じんによっては石綿やクロムのように初期から自覚症状が出やすいものもあります)。したがって自覚症状がないからとは安心できず、早期発見のためにも健康診断が不可欠です。すこしづつ、風邪をひきやすい、ひくと治りにくい等の状況が現れ始めます。進んでくると、咳、痰、息切れ、胸苦しさ、胸の中でゼーゼー、ヒューヒュー音がする。呼吸困難などの症状が出てきます。息切れも最初は坂道や階段の昇り降りだけだったのが、平地を歩いていてもつらい、更には人と話をしていても息が切れるようになります。

発症の多い業種;炭鉱、建設、トンネル・隧道工事労働、溶接、研磨、鋳造などの工場現場労働など
 


【腰痛】
 

急性腰痛症の自然経過は、90%が2ヶ月後までに、97〜98%が6ヶ月後までに、99%は1年後までに軽快すると言われ、そのうち60%の人が2年後までに再発の経験を持つと言われています。一度は良くなっても、くりかえし痛くなる人が多いということです。
腰の背骨である腰椎の間にはクッションの働きをしている椎間板と後方左右に椎間関節があります。これらの関節は体重や手荷物の重さを支えます。身体の動きに沿ってしなやかに動いて支点の役割を果たすときにかかる力は体重の9倍にも及ぶと言われています。日常生活や仕事の中で重いものを持ったとき、筋疲労等でバランスを失い無理な力がかかったときなどに、椎間板や椎間関節の組織に小さい傷がつくことによって腰痛を感じます。しばらく安静にしていれば、一旦傷は治癒して痛みもなくなりますが、傷痕の組織は元の組織に比べて力学的に弱く、再度無理な力がかかったときには傷がついたり新しい傷が増えたりします。小さい外傷がくり返され重なっていくことで、椎間板がつぶれたり、椎間板や椎間関節の周辺に骨棘と呼ばれる骨の出っ張りが形成され、レントゲン写真やMRI を撮ったときに椎間板ヘルニアや変形性脊椎症と診断されることになります。
整形外科医が、若年の腰痛患者に対して「レントゲン写真で異常がないので、何でもありません」と言い、変形がレントゲンに変化が現れている中高年には「年齢だから仕方ありません」と説明しているのをよく聞きます。しかし、40才代以降で、腰痛をくりかえす人のレントゲンやMRIではこれらの変化が多く見られますが、画像所見が確認される以前から原因となる微小外傷がくりかえされてきたと考えられ、また単に筋疲労性と思われてきた若年の腰痛患者の中にもこのような経過をとっている人がかなりいる可能性があるのです。

痛みの原因をさがす第1のヒントとして、「何がきっかけで痛くなったか?」を考えましょう。重いものを持ち上げてギックリ腰のような急激な痛みが起きたときは、椎間板ヘルニアを含めて椎間板や椎間関節の外傷というケースが多いかと思います。何度もこうした傷をくりかえしていくと、咳をしても、前かがみになっただけでも強い痛みが出たりします。意外なのはきっかけが思い当たらないときです。 
ちょっとつまづいたり、軽いものを動かそうとして腰をひねったり、横になってテレビを見ていただけなのに、腰の下の方や尻からももなどに痛みが出現し、歩くときにも続く。こんなときには、仙腸関節など関節が少しずれてひっかかっているときがあります。 第2のヒントは、「どの姿勢で何をしている時に痛くなるか?」。もし、痛みが全く姿勢によらずに続くとしたら、骨や靭帯、筋肉といった体の支持組織ではなく、内臓からきているものを疑った方がよいかもしれません。寒さや雨の前、あるいは精神的ストレスで強くなるとすると、自律神経のうちの交感神経との関わりでの痛みの可能性もあります。 痛みが出現する姿勢がわかったら、「どこが痛いか?」です。どこの関節や筋肉に負担がかかっているかなどを調べてもらいましょう。
腰痛は、誰にでもありがちなことで、仕方のないものだとあきらめていませんか? 日常生活や、仕事で行う作業や姿勢などとも密接に関係していることを理解し、あなたを苦しめる腰痛の原因は何かを考えることは、とても大切です。


発症の多い業種;タクシー、トラック、バスなどの運転手、保育士、電気作業員、清掃業労働者、運送・倉庫荷捌き作業員、港湾での荷揚げ労働者など
 


【上肢障害・頚肩腕障害】
 

手、前腕の痛み、肩こり、腕のだるさ、目の疲れ、いらいら、不眠などの症状があり、手背部の腱のはれ、痛みに悩んでいませんか。
はじめは、ほとんどの方が、どこか1ヶ所、たとえば、手首、肘、肩、頚などが痛くなります。それは使いすぎによる腱鞘炎だったり、肘の外側の炎症だったり、手首の神経の圧迫症状だったりします。日常生活で起きたのであれば痛い動作は自然となるべく避けるようにするのですが、起こした作業が業務上となると、やり方が決まっていたり、人が足りなくて仕事を休めなかったり、締め切りに追われたり、痛いことをがまんして急いで、繰り返し行わなければならないことが続いたりします。 こうしているうちに徐々に痛みの範囲は拡がり、手から腕全体、肩、頚、頭、背中、半身、ときには反対の上肢まで拡がるときがあります。同時に、めまい、耳鳴り、吐き気、嘔吐、視力障害、聴力障害、集中力がなくなる、物をおとす、字が書けない、手指がふるえる、物忘れが激しくなる、うつ症状などが出現します。これが頚肩腕障害といわれる職業病です。 その原因として考えられているのは痛みの悪循環です。痛みの刺激が繰り返し加わることによって自律神経のうちの交感神経の異常を含め、これらの多彩な症状が強くなる回路ができてしまうのです。いったんこの回路ができあがってしまうと、休業をして症状が軽減しても、職場復帰をして痛みを感ずる作業を再度行うと、再び悪循環が起きて以前と同様の症状が強くなることが多いため、罹患するととてもやっかいです。

発症の多い業種;タイピスト、電話交換手、スーパーレジ係、PC業務者、事務職、調理作業員など
 


【有機溶剤中毒】
 

油やロウ、樹脂、ゴム、塗料など水に溶けないものを溶かす有機化合物で、揮発しやすく工業的な用途に使われるものを有機溶剤と言います。日本での使用量は石油化学工業の発展や需要の増加で1960年代から急増し、特にトリクロルエチレン等の塩素系溶剤の増加は著しいものがあります。」 法律的には有機溶剤中毒要望規則、特定化学物質等障害予防規則で特に有害なものについての規則が定められています。しかし実際には500種近くが使われいると言われ新しい溶剤もどんどん開発されています。これら新しい溶剤や溶剤を混ぜて使った場合の慢性毒性については、わかっていないことばかりで実際に扱う労働者にとっては非常に危険な現状です。石油や、灯油、シンナーや接着剤などが有機溶剤であり扱いによって有害なことはみなさんもご承知のことと思います。有機溶剤は高濃度を吸えば、急性中毒に、低濃度でも長い期間吸えば慢性中毒を引き起こします。

《急性中毒》
 密閉されたタンクやトンネル、大きな槽、缶内で高濃度の蒸気を吸って頭痛、めまい、吐き気を起こし気を失って死に至る急性中毒も未だに無くなっていません。臭うからといってわざわざ密閉したり、床の汚れ落としに溶剤を使って掃除したりするということは大変危険なのです。急性中毒では死亡しなくても後遺症が残ることが多いと言われてます。

《慢性中毒》溶剤は蒸気を吸うことで肺から、触れることで皮膚から体内に入ります。次いで全身を血液とともに回ります。一部は呼気から排泄されますが、脳や神経に結合し、肝臓で抱合、分解を受けたりした後、腎臓を通り尿に排泄されます。(だから溶剤によっては尿の代謝産物を測ることによってどのくらい溶剤を吸収したかが推測できます。)有機溶剤の共通する毒性をあげれば、@揮発性が大きく(臭う)、呼吸器から吸入されやすいA脂溶性が大きく、脂質が多い神経、脳に結合蓄積されやすいB粘膜や皮膚に刺激作用があるということです。

有機溶剤の慢性中毒の症状は、多彩であると同時にあいまいなものが多く、有機溶剤を使っていることに注意していなければ見逃してしまうこともあり、医師も見落としてしまうことすら少なくありません。簡単にじぶんでチェックできる症状として、@手が荒れる、A異常に疲れた感じ、足がだるいB頭痛、頭痛感、めまいCいらいら、不眠、夢見が悪い、D胃のもたれ、食欲がない、また、酒に弱くなる、溶剤に「酔う」、溶剤の臭いをかぐとスッとする(嗜癖・シンナー中毒)などの症状もあります。これらの症状があれば赤信号とかんがえ、溶剤との接触を断つべきです。

有機則にはそれぞれの溶剤の毒性が示されています。そのほとんどが蓄積毒性=慢性中毒の危険を持っています。列記すると、@精神・神経障害:多発神経炎、視神経炎、小脳失調、初老期痴呆など(症状は頭痛、頭重感、いらいら、めまい、不眠、記憶力の低下、失神、手足のしびれ感、神経痛、脱力、麻痺など)A皮膚・粘膜障害:皮膚炎、結膜炎、上気道炎など(症状は皮膚のあれ、かゆみ、なみだ、目の充血、くしゃみ、せきなど)B呼吸器障害:慢性気管支炎など(症状はせき、たん、息苦しさなど)C肝障害D腎障害(タンパク尿、血尿など)E造血器障害:再生不良性貧血、白血病、貧血など、F発ガン性があげられます。慢性中毒は一旦進むと大変なおりにくいのでかかってからの治療よりもどうしたらかからないですむかという予防が一番大切なのです。
溶剤によってはそのものに特徴的といえる障害を引き起こすことがあります。発ガン性についてはベンゼン(サンダルのゴムのりに用いられた)の白血病、再生不良性貧血があまりに有名です。またトリクロルエチレン、パークロルチレン(クリーニングなどで使用)は使用量も多く今後問題になると思われます。n-ヘキサンの末梢神経障害(手足のしびれ)、トルエンやトリクロルエチレンによる脳の萎縮や脳波異常、トルエン、スチレン、パークロエウエチレンによる視力低下、視野狭窄、トルエン、クリーニングソルベント、灯油による貧血などは有名です。シンナー、塗料に使われているセロソルブ類が精巣萎縮(男性の不妊症)を起こすこともあり十分注意する必要があります。トリクロルエチレンと腸管ノウ腫様気腫(腸に袋が多発し腹のはりや粘血便を示す)との関係や、 1,1,1-トリクロルエタンやテトラクロルエチレンによる過敏性肺炎の例もあります。

溶剤の急性中毒は立証が比較的簡単ですが、慢性中毒は実証が困難で、多くの患者が潜在し、職業病と診断されずに治療を受けていることが予想されます。下がっれ使用職場では慢性中毒の可能性を厳しくチェックする必要があります。 大ざっぱに職種、職場を分類すると@有機溶剤の製造、A有機溶剤含有物の製造(塗料、インク、接着剤、洗浄剤、払拭く剤等)B有機溶剤(含有量)の使用。

問題なのは@溶剤を使っていると知らされていない、知らされていても有害物とは知らされていない場合(相談が寄せられた例でも有害物表示や安全教育をしていた会社は少なく、いろいろ聞いてやっと有機溶剤を使っていることがわかることもあります。汚れがよくとれたり臭う液はほとんど有機溶剤ですから、仕入れ先や製造会社、缶などの容器の表示を確認して何を使っているのか知っておく必要があります。)A混合溶剤として使っているのが大多数で何をどれくらい含んでいるのかわからない(企業秘密)。混合溶剤では層状作業で毒性が強くなる可能性が高いとともに労災認定に当たっては「塗料中毒」「シンナー中毒」でなく「トルエン中毒」等の単剤名で認定する傾向があり混合溶剤では労災認定されにくくなってきているという問題があります。

発症の多い業種;塗装、メッキ、印刷、有機溶剤の混合・撹拌などの金属・造船関連など


この他にも近年、業務上の作業・環境・事故などに起因して発症した疾病について、脳・心臓疾患、精神障害など、労災補償のカバー範囲は少しづつ広がってきています。しかし、いずれの疾病も厚生労働省の定めた認定基準に則した認定を労働基準監督署から受けなれば労災補償は受けられません。

 

センターではご相談者の働く現場の具体的な環境、作業や、就労歴などを、詳しくうかがいながら、労災申請についてのアドバイスを行っております。
また、日本の労災補償制度には国籍などの別はありません。仕事が原因のケガや病気なら在日外国人労働者の方も、日本の労働者同様の補償を受ける権利があります。あきらめずにご相談ください。

 

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